研究課題/領域番号 |
08101002
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
西川 公一郎 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60198439)
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研究分担者 |
奥野 英城 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 助教授 (10013400)
大山 雄一 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 助手 (30213896)
中村 健蔵 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 教授 (10011735)
石井 孝信 高エネルギー加速器研究機構, 素核研, 助手 (90134650)
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キーワード | ニュートリノ / 素粒子 / レプトン / ニュートリノ振動 / 標準模型 |
研究概要 |
K2K実験はつくばの高エネルギー加速器研究機構で作られたニュートリノビームを250km離れた岐阜県神岡町にあるスーパカミオカンデ検出器に向けて照射し、ニュートリノ振動の検証を行う実験である。ニュートリノに質量があった場合、ニュートリノ振動という現象を通してスーパカミオカンデ検出器で観測されるニュートリノの数が減少することが予想される。 K2K実験は平成12年度は半年間データ収集を行い、ニュートリノ振動及びニュートリノ質量の確証に迫った。平成12年度夏までのデータで、スーパカミオカンデ検出器での予想値は38事象だったのに対して、観測値は28事象と優位に少なかった。この結果がニュートリノ振動無しで起こる確率は10%以下であり、ニュートリノ振動が見え始めたと解釈してもよいかもしれない。この結果は平成12年度、カナダで行われたニュートリノ物理学国際会議(NEUTRINO2000)、大阪で行われた高エネルギー物理学国際会議(ICHEP)で発表され、世界中の注目を浴びた。ただし、10%以下という精度は現在の高エネルギー物理学では十分な精度ではなく、平成12年度後半も引き続きデータ収集を続行中である。また、これからはニュートリノ観測数の減少と共に、更にどのエネルギーのニュートリノが減少しているかを測定する必要があり、現在前置検出器の調整と詳細なデータ解析を行っている。 また、上記のように250km離れたところまで素粒子ビームを照射するという試みは世界初であり、我々はその技術を確立したといえる。これらの業績を基に現在ニュートリノ観測数の減少の結果をまとめた論文がアメリカのPhysical Review Letters誌に投稿中である。科学研究費の補助は今年度で終了したが、確実なニュートリノ振動の証拠を示すためには少なくとも後数年必要であり、2004年までは研究を継続する予定である。
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