研究概要 |
研究計画書に従い以下の開発製作を行った。 1)円筒型反同時計数用NaI(Tl)検出器の製作: * 中性子捕獲反応からのガンマ線を高い信号対雑音比で測定するため中心NaI(Tl)検出器(既存)の外周部に配置する円筒型NaI(Tl)検出器{直径13.54インチ,厚さ2インチ,長さ14.5インチ}を製作した。 * ガンマ線検出効率を上げ且つ試料などでの散乱中性子が検出器に入り込まない様にガンマ線入射部周辺の遮蔽材の構成を工夫した。 * NaI(Tl)検出器外部からのガンマ線バックグランドを減ずるためにその主原因となっていた検出器橿体の材を鉄から強化プラスチックに換えた。これにより信号対雑音比が5倍以上改良できる。 * 検出器系架台も鉄から中性子捕獲断面積のより小さいアルミ製に換えた。 2)気体標的液化装置の製作: 軽原子核の捕獲断面積測定には数モルの試料を必要とするので、酸素、ネオン等の気体標的を液化できる装置を製作した。この装置では標的を気体から液化のサイクルが何度でも可能なように製作されている。又液化された試料を入れる容器はバックグランドになるので中性子捕獲断面積の小さい炭素等を主成分とするポリカーボネイトで作製した。 3)中性子発生用薄膜蒸着装置: 中性子を発生する標的であるLi薄膜を一様厚で蒸着可能な装置を購入した。 4)重陽子,13C,及び180の中性子捕獲反応断面積の測定実験を行った。その結果、これらの原子核について星の温度に対応する10keVから100keVで初めて有意な値を得た。重陽子の結果は、従来理論的に予言されていた値に比し低エネルギーでは大きく高エネルギーでは小さい。又13C及び180については簡単な計算値より約10倍大きい結果を得た。これらの結果が元素合成に及ぼす影響は現在検討中である。 5)ビーム同期型レーザーによる検出器系等の性能試験をメタンガスを用い行った。
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