研究課題/領域番号 |
08102005
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研究種目 |
特別推進研究
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配分区分 | 補助金 |
審査区分 |
化学系
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
籏野 嘉彦 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (90016121)
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研究分担者 |
小田切 丈 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (80282820)
亀田 幸成 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助手 (90214551)
河内 宣之 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (50161873)
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研究期間 (年度) |
1996 – 1999
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キーワード | 超励起状態 / 電子エネルギー損失スペクトル / コインシデンス / 中性解離 / シンクロトロン放射光 / 発光 / 脱励起 / 再結合 |
研究概要 |
分子超励起状態を光学的許容状態と禁制状態に大別し、前者は本研究者が他に先駆けて1980年代前半に開始した放射光励起実験を引き続いて行い、後者は下記のとおり新しい実験手法を創案し、確立することに成功した。以下にまずこの後者についてその成果の概要を述べる。 平成8年度から9年度前半までにかけては装置開発を含めた実験手法の確立に努めた。磁場遮蔽強化と真空排気効率向上を最適化した電子エネルギー損失分光装置に真空紫外光検出器とコインシデンス計数系を組み合わせ、さらに定量的議論に基く実験条件の最適化、独自の同時計数率規格化法の確立を行い、標記の課題を研究する新しい実験手法として確立することに成功した。その後この確立した手法を用い、H_2、D_2の二電子励起状態領域でH(2P)生成と同期した電子エネルギー損失スペクトルの測定を行った。これは電子衝突実験で水素分子二電子励起状態のスペクトルを測定できた初めての例である。スペクトルに見られる光学的禁制二電子励起状態のピーク位置および形状は、二電子励起状態の崩壊ダイナミックスに対するこれまでの常識に一石を投じ、大きな反響を得たことは特筆に価すると自負している。平成10年度後半からはH_2の第一イオン化ポテンシャル直下のRydberg状態領域で測定を行い、三重項ungerade状態からのH(2P)生成分岐比が多の状態のそれに比べて大きいことを見出した。平成11年度からは多電子系への拡張として、N_2を対象として実験を行っている。 放射光励起実験では、種々の分子に対し光吸収断面積、光イオン化断面積、中性解離断面積の絶対値測定、真空紫外発光の2次元発酵励起スペクトル測定、およびイオン-発光コインシデンス測定を行い、それら分子の光学的許容超励起状態の解離ダイナミックスを明らかにした。平成11年度からは、解離ダイナミックスに対するより包括的かつ詳細な知見を得るため、可視紫外発光の2次元発光励起スペクトル測定を計画し、実行に移している。また反応中間体としての分子超励起状態が重要な役割を果たす励起希ガス原子の衝突脱励起過程に関する研究、および電子-正イオン再結合反応に関する研究も行った。
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