研究概要 |
初(1996)年度には、(1)15m固定球面鏡の建設,(2)受信機系の製作,(3)信号伝送系の実験,(4)時間・空間FFTプロセッサーの設計,(5)Radix-4バタフライLSIの設計、を行った。それらについて、以下にまとめる。 (1)1.4GHzパルサー観測用15m固定球面鏡 東西、南北にそれぞれ50cm、90cm間隔でチェーンを張り、交点を止めて球面とし、メッシュ幅5mmの網を張る。 (2)受信機系の製作 1.4GHzの常温HEMT受信機を製作し、NFとして40-50Kの受信機雑音を達成しつつある。 (3)信号伝送系の実験 ベースバンド光パラレル伝送方式(8bit,20MHz、複素)を検討し、実験の結果同軸ケーブルに比べ、低損失、低位相変動、高安定性が確認できた。問題は高価なことである。 (4)時間・空間FFTプロセッサーの設計 本プロセッサーを用いたパルサー観測用干渉計における,空間時間信号処理の各種モードを以下にまとめる. (4a)Imaging Mode :従来の64(将来の256)素子干渉計で行われる,周波数分解なしのNyquist Rate 50nsでの直接像合成、空間FFT処理部のみを用いる。 (4b)Pulsar Survey Mode :(2+1+2)次元FFTによるパルサーサーベイを行う。 (4c)Pulsar Timing Mode : (4d)Phase Calibration Mode : (4e)All Through Mode :ディジタル処理部を素通りし,個々のアンテナ,受信機のNF,Gain等を直接求める. (5)Radix-4バタフライLSIの設計 Radix-4バタフライ演算(入出力8ビット) 遅延補償用シフトレジスタ(2ビット、32段:cx50nsx32=450m) DCカットフィルタ(入力2ビット・出力8ビット) 自乗演算(入力4ビット・出力8ビット) この他に、Radix-4バタフライのひねり係数を切り替えるためのレジスタファイルや、制御用のモードレジスタなども組み込まれる。以上のような構成で、現段階での論理合成結果では、最終的なゲート数は5〜6万になると予想されている。パルサーサーベイ用のFFTプロセッサを構成するためには、このLSIの他にもさまざまな周辺機能が必要となるが、それらはFPGA等で設計している。
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