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1996 年度 実績報告書

地域性の形成における人口・環境要因の作用

研究課題

研究課題/領域番号 08203102
研究機関東京大学

研究代表者

宮嶌 博史  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20130099)

研究分担者 上田 信  立教大学, 文学部, 助教授 (90151802)
斎藤 修  一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
柳澤 悠  東京大学, 東洋文化研究所, 教授 (20046121)
斯波 義信  国際基督教大学, 教養学部, 教授 (00039950)
キーワード東アジア / 南アジア / 人口 / 小農社会 / 親族構造 / 村落 / 華僑 / カースト制
研究概要

本研究のねらいは、アジアにおいて人口稠密地域に属する東アジア・南アジアの地域性形成が、他のアジア諸地域と比較して、どのような特徴を有しているかを考察することであった。東アジアの3国(中国、朝鮮、日本)においては15〜18世紀にかけて人口の著しい増加が見られたが、この過程は同時に、今日まで持続する3国の基本的な社会構造の形成過程でもあった。すなわち、3国においてはこの時期に、小農民家族をにない手とする小農社会が形成されるとともに、小農経営の不安定性に対処すべく、親族組織・村落組織の結合の強化がはかられたのである。東南アジアなどとの対比上いわれる東アジアのタイトな社会構造は、この小農社会の形成に伴う産物であることを明らかにすることができた。しかし同じ東アジアの中でも、日本・朝鮮においては19世紀前半に人口増加が停滞に陥るのに対して、中国では19世紀にも人口の著増が見られた。こうした人口要因の差異により、中国の親族組織は朝鮮・日本と比較するとはるかに柔軟性を備える一方で、組織としての結合力が不安定であるという特徴を有するに至ったものと考えられる。16世紀以降の華僑の形成も、中国の人口の継続的増加、それを可能とした親族・家族組織との関連の中でとらえうることも明らかとなった。東アジアと同じく南アジアも人口稠密地域に属するが、南アジアの人口増加は18世紀以降に加速化されたのであり、東アジアとは時期的差異を見せている。東アジアとの最大の差異は、南アジアでは農業のあり方と関わって、この人口増加の過程で小農社会が形成されなかったことであると考えられる。このことがカースト制という独性の社会構造の強固な存続と関わっていると思われるのである。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] 上田信: "史的システム論と物質流-18世紀中国森林史のために-" 史潮. 38. 27-40 (1996)

  • [文献書誌] 斎藤修: "アジア人口史展望" 経済研究. 48-1. 59-79 (1997)

  • [文献書誌] 上田,信: "そこにある死体-事件理解の方法-" 東洋文化. 76. 65-93 (1996)

  • [文献書誌] 宮嶌博史: "両班(ヤンバン)" 中央公論社(中公新書), 222 (1995)

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公開日: 1999-03-08   更新日: 2016-04-21  

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