本研究は、多様な地理情報、地域情報を効率的に蓄積・管理し、また有効で容易な地域分析を可能にする地理情報システムの構築を行い、実際に都市分析に利用することでその有用性の検討を行うことを目的としている。具体的には、神戸市をケーススタディーエリアとして、地理情報システムを用いて分析を行うにあたって必要となる、町丁界や街区のデータを入力する。また、分析を行う対象データとして阪神大震災関連の被災情報や復旧・復興情報を中心に、地域の基礎データとしての人口や土地利用といった統計データ、地形図、都市計画図といった図面の入力も行う。これらのデータを用いて、地理分析を行うための情報の加工、表現、視覚化の方法等の検討し、被災の状況、復旧・復興の状況を地理情報システムを活用することで、どのように処理加工し、分析を行うことができるか試みる。今年度の地理情報システム化の作業の主たる部分は、GISシステムの基本設計と、建物に関する情報の生成、被災情報等建物属性情報の付与、町丁界、街区界等分析のベースとなるディジタル情報の整備である。前者は、被災地域にあるすべての建物の位置及び形状の情報を持たせ、これにその属性としての被災度、建物用途、構造種別、建築年次等情報を付与していく作業である。建物形状(ポリゴン)データは前章で述べたように神戸市が平成4年から6年にかけて別途作成中であった国土基本図(1/2500)のディジタルマップ(DM)データを利用した。後者は、神戸市のDM及び国土地理院の発行している数値地図10000を用いて行った。 次年度は生成したGIS情報を使って都市分析システムの設計を行い、その有効性について検討する予定である。
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