今年度の研究は、昨年度構築した風景写真のカラー画像データベースを基に、色彩情報を用いた類似画像検索機能を組み込んだ。四つの領域分割法を用いてそれぞれの画像を小領域に分割し、Lab値を基にした各領域の特徴量を求める。領域分割法は入力画像に適した方法を自動的に選択し、算出された特徴量から、1枚の入力画像に対して類似画像を決定する。また、類似画像を決定する際に一定重みの他にガウス重みを用いることによって、ユーザの意思が反映した画像を検索することができた。このシステムの有効性を証明するために、全探索との比較を行ない。その結果、全探索に比べ約三分の一の手間で所望の画像を検索できることが確認できた。「心象イメージ」と色彩情報が密接な関係にあり、芸術家は配色の知識を持ち、その規則にしたがった対象の選択、構図を行い、一枚の作品を完成させていく。本研究の発展として、特定の芸術家の制作活動をすべて計算機に入力し、その行為を定量化することで、芸術家の「心象イメージ」の解明を試みる。 今年度の開発では、市販のCD-ROMカラー画像データをサンプルにデータベースの機能検証を行った。WebサーバのCGIプラグイン機能を用いて、インターネット上での検索システムを実装した。カラー画像データは市販のストックフォト検索用CD-ROMから4000枚使用した。保存すべき画像データを芸術写真や絵画、イラストレーションに置き換えれば、直ちに人文科学研究に有効なものである。
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