本研究を基礎づけるために、画像データベースシステムの枠組として下記のようなシステム構造を定義する。この構造は主に4つの部分に分かれている:(1)「データベース・知識ベース」ここには現画像、処理の結果画像、画像の特徴領域、テクスト型記述、など、画像検索の時のインデクシングに用いるデータ構造、そして、浮世絵に関する一般的な知識の記述が保存されている。(2)「画像入力インタフェース」は画像データベースに新しい画像を追加する時に利用するマン・マシン・インタフェースであり、(3)「画像検索インタフェース」は画像を検索する時に利用するマン・マシン・インタフェースである。そして、(4)「ツール」は画像の保存、検索、編集などの機能を実現するプログラムである。 平成8年度に、(1)浮世絵の画像データベースの仕様はどのようなものであるべきかを調べるにあたり、日本の浮世絵研究を代表する専門家の一人にこのテーマに関する意見調査を行った。それと共に、道具の開発およびグラフィカル・ユーザ・インタフェースの構築・実現についての基礎調査を続けた。特に、(2)テクスチャーに基づく浮世絵の検索法の開発および実験、(3)カラーによる浮世絵の分割法の開発および実験、(4)浮世絵に含まれている人間の顔の形状を用いた検索法の開発、そして、(5)Java言語を用いたユーザ・インタフェースを構築するための基礎調査を行った。
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