研究課題
(1)美術史研究領域における情報の特性とサンプル:当該研究領域の主要な情報として流布するものの多くは今現在の状態を示すもので、実は様々な歴史的な文脈で形成された結果であることが多い。つまり極めて不安定な情報が多い。研究情報はしたがって歴史的なありようを再構築できるよう、作品や作家の誕生から現在までの歴史的な文脈に関わる情報をできるだけ包含させたものであることが望ましい。データは主として画像とテキストである。本研究ではこうした観点から、サンプルデータとして作品や作家の日記・文集、社会における受容のありさまを示す記録情報を集積する東京国立文化財研究所所蔵黒田清輝資料を選び、文字情報はフルテキストでファイル化した。(2)画像データ:当研究領域における画像データのもつ意味は極めて大きい。これまでの環境でネックとなっていた量と質の二者択一問題はハード環境の著しい変化によってそれほど問題とはならないが、質の一応の目安は印刷図版として耐えられるものであることがあげられる。またデバイスインデペンデントであること、入力環境・入力条件が規格化されていることは画像の流通や質の安定性を考える上で必要な条件である。これらを勘案して画像データの作成はProPhotoCDによった。作成した画像を同定するデータの記述のしかたには注意を要することは上記の通りである。(3)システム像:上記データは、個々の情報がそれぞれ独立したかたちで扱え、なおかつプラットフォームに依存しない環境での利用が望まれる。以上の理由から本研究ではOpenDoc環境におけるマルチメディア・インフォメーション・ドキュメンテーション・システムの実現を提案し、そのクライアントプロトタイプをMacOs7.5.3、OpenDoc1.1、Cyberdog1.1で作成した。
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