• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1997 年度 実績報告書

現代中国における国家・社会関係--社会変動の構図

研究課題

研究課題/領域番号 08208106
研究機関静岡県立大学

研究代表者

菱田 雅晴  静岡県立大学, 国際関係学部, 教授 (00199001)

研究分担者 厳 善平  桃山学院大学, 経済学部, 助教授 (00248056)
園田 茂人  中央大学, 文学部, 教授 (10206683)
大島 一二  東京農業大学, 農学部, 助教授 (40194138)
中村 則弘  愛媛大学, 法文学部, 教授 (10192676)
キーワード国家・社会関係 / 出稼ぎ現象 / 職業移動 / 私営企業家 / 中間層 / 労働力移動 / 階層移動 / 両棲関係
研究概要

1 建国以来進められてきた中央集権=指令型の計画経済システムに対して,市場メカニズムが着実な浸透を見せる一方で,それに伴い,弛緩しつつあるにせよ、「党=国家」体制の権力メカニズムがなお厳然と存在している事態を両者間の共生/両棲関係として把捉した。すなわち、国家と杜会の両者間の領域それ自体が,暖味にして各個別ケース毎に不確定であり,両者間の相互浸透および「新たな装い」の各種存在態(社会意識,組織・集団,階層等)の持つ両義的性格が指摘されるからである。
2 行政の担い手が,もはや各職務分担領域での利害関係の調整者になっている。その背景には、村内部での多様な利害関係の形成と、それと親和的な多様な意織の表出があり、私的経営の進展に伴う意織の変化という点では、その担い手における生活実践の中での伝統の復活,また家庭・地域生活にみられる家風や民衆文化等の重要性が改めて確認できる。
3 出稼ぎ現象は,しばしば「盲目的な流動」などと形容されるにも関わらず、いずれの地域においても所与の条件に対応してきわめて合理的な農家行動によって発生しており、「発展途上地域における貧困層の没落→出稼ぎの流出」というような性格のものではなかった。また,中国内の発展途上地域においては地域内の優位性を有した階層からの出稼ぎがみられ、経済発展地域においては地域内の下降農家層からの流出が観察されるなど一般的に想定される粂件のみでは説明し得ない背景が存在している。
4 旺盛な転職意識を持つ中国の諸個人は、世代内での職業移動が頻繁に行われつつあるとはいえ、こうした流動性をモニ夕-、チェックする機関としての地方政府は依然大きな権限をもっている。しかも、従来の「高学歴」で「人格者」をリーダーの条件と考える精神構造が根強く見られるため、個体戸や私営企業家などの金銭的な成功者が、国家秩序や社会秩序の主導的な役割を果たすものとは予想しにくい。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] 菱田 雅晴: "中国:社会意識の"転型"" 体制変容下の中国・スラブ・ユーラシア. No.40. 41-53 (1997)

  • [文献書誌] 菱田 雅晴: "混乱の脅威--社会安定性を問う" 中国は脅威か. 220-239 (1997)

  • [文献書誌] 中村則弘: "中国農村地域における私営企業家の勃興とその価値意識" 中国研究月報. 51巻4号. 21-33 (1997)

  • [文献書誌] 大島一二: "中国における兼業農家の実態と問題点-逝江省農村工業発展地域の事例" 現代中国. 第71号. 99-108 (1997)

  • [文献書誌] 園田茂人: "中国人の行動原理を探る" 中央評論. 第222号. 28-32 (1997)

  • [文献書誌] 園田茂人: "企業:異文化理解の落とし穴" 比較社会・入門. 13-32 (1997)

URL: 

公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi