研究課題/領域番号 |
08208107
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研究機関 | 静岡県立大学 |
研究代表者 |
田中 恭子 静岡県立大学, 大学院・国際関係学研究科, 教授 (00167496)
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研究分担者 |
真栄平 房昭 神戸女学院大学, 文学部, 助教授 (50183942)
中田 睦子 愛知学泉女子短期大学, 助教授 (10249287)
田中 明彦 東京大学, 東洋文化研究所, 助教授 (30163497)
白石 昌也 横浜市立大学, 国際文化学部, 教授 (70127330)
黒柳 米司 大東文化大学, 法学部, 教授 (00186553)
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キーワード | 地域化 / 地域安保 / 中国脅威論 / 南シナ海 / 香港返還 / ハブ / アジア経済危機 / 華人世界 |
研究概要 |
前年度から引き続き中国とアジア太平洋地域の関係を(1)国家間のフォーマルな関係と(2)民間組織や個人を主体とするインフォーマルな関係に分けて研究を進めてきた。 (1)の分野では、まず第1に、冷戦後の中国の「地域化」に注目する。中国の影響力は、アジア太平洋地域に限定され、経済関係の相手もほとんどはこの地域である。外交戦略の上でも、アジア諸国との関係緊密化、地域安保の推進によって、アメリカおよび日米安保の「脅威」に対処しようとしている。一方、東南アジア諸国には、根強い「中国脅威論」がある。彼らから見れば、中国は軍事大国であり、また、過去にたびたび軍事力を行使した実績をもつからである。南シナ海諸島の領有権紛争や、国によっては、国内の華人と中国のつながりに対する疑惑が、中国に対する脅威感を増幅している。 (2)の分野では、1997年の新たな展開である香港返還とアジア経済危機に注目しつつ、中国と華人世界の関係を中心に研究を進めている。香港に対する我々の関心は、華人世界のヒト、モノ、カネ、情報の流れのハブとしての役割にある。福建省で厦門大学と協力して進めている僑郷社会調査でも、この観点が重要な柱としている。東アジアの経済危機は、すでに中国の輸出産業を直撃しているが、やがて海外からの投資も減少し始めるであろう。香港は華人世界のカネを集めて、中国に投資する役割を担い、中国の開発資金の最大の供給源となってきた。経済危機によって華人資本の投資意欲は減退しており、そのうえ、香港に対する信頼感が弱まれば、中国経済も深刻な影響を受けると思われる。
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