研究課題
重点領域研究
A01班の主たる研究テーマは、地方あるいは中央・地方の相互関係にスポットを当てながら、中国政治社会のダイナミックな変容過程を明らかにすることであった。班組織は5名の分担者の他に、2名の公募研究による参加者、6名の若手研究協力者(中国人3名含む)より構成された。研究協力者をやや多く集めたのは、現地での生活体験、調査経験を持っている彼らの協力を得ることによって、中国各地の政治社会的変容をできるだけ具体的かつ包括的にとらえることを可能とすること、と同時に現在、日本の中国学界における一つの弱い部分とも言える政治領域の研究者層の拡充、活性化を図るためであった。研究班活動1年目にあたる本年度は、全体的なテーマを踏まえた上での各人の問題意識、研究テーマを提示しつつ、それらを掘り下げるべく意見交換を進めることに主眼をおいた。いわば3年間を射程においた、共同研究活動の助走期間であった。したがって、相互の関心テーマを持ち寄り、意見交換を通して具体的な全体像を作り上げることに主眼がおかれた。年間を通じての研究会活動はきわめて活発に行われた。夏休暇期間を除き、96年4月より97年1月まで毎月研究会を開催し、各回2名の研究者の研究報告を受けて議論が繰り返された。各テーマは、経済政策決定や軍の権力構造、反腐敗闘争、「香港返還後」などにおける中央・地方関係、中央の対地方政策の変遷や幹部政策、基層レベルの選挙・統治構造、地方の社会保証政策、法政化の地方における実際の試みなどであった。その他、代表者の天児は班のテーマと関連した「海外学術調査」にも参加しており、夏期に四川省の成都と長慶で基層レベルの政治変容に関する調査と、国務院民政部関連部門でのヒヤリングを実施した。さらに参加者各自が次年度のより掘り下げた研究活動を実施するため、中国の関係者との意見交換を行い、かつ関連資料の収集も行った。
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