研究課題/領域番号 |
08209114
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
伴 金美 大阪大学, 経済学部, 教授 (30027578)
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研究分担者 |
久松 博之 香川大学, 経済学部, 助教授 (90228726)
吉田 あつし 大阪府立大学, 経済学部, 助教授 (60240272)
鈴木 和志 明治大学, 商学部, 教授 (40226501)
小川 一夫 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (90160746)
前川 功一 広島大学, 経済学部, 教授 (20033748)
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キーワード | パネル / パネルデータ / 疑似パネルデータ / 財務データ / 企業投資 / 全国消費実態調査 |
研究概要 |
インターネット上にWWWブラウザ-で検索可能な企業情報データベースを構築し、重点領域の研究分担者に公開し、企業の将来収益の不確実性が設備投資を抑制する可能性について分析した。標本期間として、バブルの生成・崩壊期を含む不確実性の大きな変化が予想される期間を選択し、不確実性と設備投資の関係を分析した。その結果、不確実性が設備投資に負の影響を及ぼしていること、不確実性に対する反応の大きさは、投資の不可逆性と市場構造に依存することが示された。 次に、1984年、1989年及び1994年の「全国消費実態調査」から、コ-ホ-ト属性である年齢と居住地域によって疑似パネルデータを作成した。疑似パネルデータによる推定は、観測不能な個体効果と漸近的に直交する操作変数を利用し、個体効果によって生じるバイアスを回避するものである。作成実験では、居住地域を都道府県単位、年齢を1歳刻みとし、1410コ-ホ-トに集計した。集計対象となる項目は、世帯属性、収入、消費費出、非消費支出、金融資産・負債の39項目である。作成された疑似パネルデータによれば、消費支出が51〜52歳でピークアウトしていることと、所得の変化と消費支出の変化に正の相関があり、恒常所得仮説を否定する現象が示された。 パネルの統計分析の研究においては、検定統計量の有効性を評価した。それによれば、F統計量のサイズは名目のサイズと異なるが、それと差のない有効検定統計量の存在が明らかにされた。さらに、単位根、あるいは共和分過程を含み、時点数の大きいパネルデータの推定量について、推定量の分布が左右対称で、制約なしSUR、制約付きSUR、OLSの順で、より中心に集中しているという意味で効率性の高いこと、共和分検定量の分布が非対称であり、SUR、OLSいずれの残差を使って誤差項の係数を推定するかによって分布が違ってくることが明らかにされた。
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