研究課題
諸外国と並んで日本においても、家庭に関する総合的なデータを整え、かつそれを研究者のコミュニティに共同利用できる形で供給していくことが強く求められている。このような認識のもとに、本研究は、利用可能な米国での類似調査の個票レベルのデータを、日本との比較の視点において独自の集計分析を試みるとともに、予備的な調査を実施して、日本における全国規模の家族と世帯に関する総合的学術調査を実施する際の問題点を整理し、調査デザイン、調査項目等について検討を深め、その速やかな実現を目指そうとするものである。合わせて、データセットのメインテナンスと、共同利用のためのシステムづくりについて検討を進めることも目的となっている。本年度は、広い範囲の研究協力者を募って分析作業班を構成して、家族研究データの中で最も先端的な試みとして知られている、米国のNational Survey of Families and Households (NSFH調査)の公開データにアクセスし、その第1次調査のデータを独自に解析する作業に取り組んだ。その結果、大量の変数及びケース数のデータ処理の技術上の困難さについて身をもって学習するとともに、日本との比較の観点から、各メンバーの独自のテーマによって分析を進め、年度末をめどに、ワーキングペ-パ-をとりまとめた報告書を作成し配布する。他方、計画中の日本の家族に関する全国的総合調査へ向けての予備的調査として、夫婦関係に焦点を当てた「夫婦関係と家族に関する調査」を企画し、中年(40〜59歳)男女450名を対象に配票留め置き法で1月に実施し、307例にデータを収集した(回収率68.2%)。こちらについても、第1次報告書を本年度内に印刷・配布する。