研究分担者 |
山本 渉 電気通信大学大学院, システム学研究科, 助手
椿 広計 筑波大学, 社会工学系, 助教授 (30155436)
岩崎 学 成蹊大学, 工学部, 教授 (40255948)
尾島 善一 東京理科大学, 理工学部, 助教授 (50169299)
三浦 由己 駿河台大学, 経済学部, 教授 (30229645)
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研究概要 |
経済統計を扱う際の問題は,データの収集・加工段階と,分析段階とに分けられる。特にミクロデータを分析する場合には,最終的なデータ解析に先立って観測値に関する信頼性を検討しなければならない。その代表的なものは個票における欠測値ないし外れ値の発生に代表されるデータの不完全性と,それに対処するための補完ないし外部情報の利用である。本研究においては,現実の経済統計調査における不完全な計数値の処理方法の検討,欠測値補完方法としての統計的マッチング,補完を前提としたデータを解析するための手法を主要なテーマとして以下の活動を実施した。 1. 複数の統計調査のマッチングによる情報の利用方法。この問題については,完全照合マッチングと統計的マッチングとの関係を整理しながら,いくつかの理論モデルによる検討,および実際の官庁統計調査に基づく統計的マッチングの実験を実施し,ミクロデータ公開の可能性までを視野に含めて検討した。関連して,データリンケージとマッチングに関する理論的,実際的な多数の文献を検討し,主要なものについて要約を作成した。 2. 不完全データ分析手法の整理。研究者の当初の計画,意図に反してデータが完全な形では得られない不完全データの例としては,欠測,打ち切り,精度不足,連続データのグループ化等がある。また,調査客体の個別情報保護のために実施されるデータ秘匿も,データ解析者にとっては不完全データの一種である。これらのうち特に欠測データについての処理方法を体系的に整理し,取りまとめた。 3. 一部に不完全な内容を含む統計調査へのブートストラップ法の適用。無回答部分の補完の推定量に与える影響を評価することを目的として,簡単なノンパラメトリックブートストラップ区間推定の方法を提案した。さらに各種の補完方法を比較するためのシミュレーション実験を行なった。
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