研究課題/領域番号 |
08209125
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
寺崎 康博 東京理科大学, 経営学部, 教授 (90136622)
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研究分担者 |
廣松 毅 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 教授 (80012491)
勝浦 正樹 名城大学, 商学部, 助教授 (70224467)
青木 浩治 甲南大学, 経済学部, 教授 (20150914)
北山 直樹 聖学院大学, 政治経済学部, 教授 (90234294)
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キーワード | 世帯構造 / ミクロデータ / 同一家計 / 成人夫婦単位 / 所得格差 / 時間の社会勘定 / 個人活動勘定 / 家事時間 |
研究概要 |
本研究の目的はミクロ統計データを活用して多様化する世帯構造と世帯の社会経済行動の実態を明らかにし、新たな分析の可能性を示すことであり、今年度は主に以下の3つの課題についての研究成果を得た。 第1に、厚生省の『国民生活基礎調査』のミクロデータにある世帯員の世帯主との続柄情報を利用して、夫婦と未成人の子を基本的な生活単位(成人夫婦単位)として世帯を再構成し、次の結果を得た。 1 成人夫婦単位で見ると、実際の世帯から成人が分離する世帯は4割弱であり、1世帯から平均で1.3世帯が成人の子等として分離する。 2 世帯分割の結果を所得規模の変化から見ると、未婚の子のいる世帯では17%の所得減、3世代世帯では49%の所得減等影響が大きい。 3 分離された成人の子等からなる世帯については、約3分の1が所得無しである。 4 世帯を分離するとジニ係数は0.05から0.1ほど増加することから、世帯が有している所得保障機能はかなり高い。 第2に、生活時間に関する社会勘定を集計表データによって試算した結果、日本における活動時間の全体像について以下の観察事実を得た。 5 国民総時間の推計値は1,086,617(百万時間)であるが、生理的必要時間が35%強を占める。また、活動拘束時間は約4分の1,選択可能時間は5分の1弱であった。 6 各活動の準備時間は試算では3.6%であり、学業が特に多い。 なお、準備時間の推計、季節性の調整等ミクロデータの使用によって改善できる点が明らかになった。 第3に、家庭内生産活動を中心とする夫婦単位で見た生活時間については集計データによる分析により、 7 男女とも、仕事時間の長さと子供の存在は家事時間を増大させる。 8 妻の家事時間は夫の家事時間が長い場合には短くなる傾向がある。 という結果を得たが、夫婦間の家事時間の配分についてはミクロデータによらざるを得ないことが明らかにされた。
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