研究分担者 |
太田 育子 広島市立大学, 国際学部, 専任講師 (10211103)
石田 晃 敬愛大学, 経済学部, 教授 (60265460)
森 博美 法政大学, 経済学部, 教授 (40105854)
今村 肇 東洋大学, 経済学部, 教授 (70176501)
渋谷 政昭 高千穂商科大学, 商学部, 教授 (20146723)
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研究概要 |
ミクロ統計データ提供に関連する先進諸国及び国際機関での提供に至る迄の経過と現状の概略の把握を行った上で、一層の掘り下げのための注目点の確定、焦点になる国際的・主要国機関(OECD、Council of Europe,UK,USA,Canada,Australia,New Zealand)の文献・資料類の入手・解読、さらに現地ヒアリングを行った。 この中で示されたことは以下のとおり。 1.国際的・国内的に重要な動きであるジェンダー統計からの性別・年齢別の多クロスデータの要求に対しては、ミクロデータの提供が有力な解決の手段とみうる。2.イギリスでのセンサスミクロデータの提供の経過は、その内容・提供条件等において、日本での今後の在り方にとって十分な参考になる。3.オーストラリアとニュージーランドでのミクロデータの提供状況をみると、まずオーストラリアでの提供の本格化は1990年代に入ってからである。法的には1983年の改訂統計法が提供を許している。提供は検討委員会による審査と統計局長判断により、磁気テープでの提供であり、提供相手は政府と民間をふくむ。ニュージーランドでは1970年代から個別対応的に提供が行われてきており、1990年代に提供の体系が整いつつある。1975年改定統計法が政府機関に限っての提供を可能にし、民間研究者へは、統計局と契約した者なら許されるという解釈にたっている。該当統計担当部のグループ審査結果を受けて統計局長が最終判断をする。提供は磁気テープで、民間研究者には統計局内での使用を許す形である。 これに対して、日本での現在の提供は極めて限られている。現行の「統計法」の「目的外使用」の案件である、公益性の解釈拡大、統計法の一般的利用禁止の規定を「識別可能な形で提供してはならない」に変え、長官が最終判断する形に変えるといった形態の公開タイプが期待されるといった問題提起がなされた。ただ政府統計生産機関は国際的にも国内的にも資金的人的資源の一層の制約下にあることを考慮に入れ、その中で、統計機関は、広い公衆をふくむ利用者本位の統計サービスをめざす方向が強められるべきこと、統計関係者の倫理等の明確化が追及されるべきこと、が本研究からの方向として指摘されている。
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