研究概要 |
Calabi-Yau多様体、McKay対応と単純特異点 理論物理学の超対称紐理論の特別な場合として、次の予想が物理学者により提出された。GをSL(n,C)の有限群、C^nをn次元複素アフィン空間、S=C^n/Gをその商空間とするとき、もしSがcrepantなnonsingular resolutionXを持てば、e(X)=#(Gの共役類)。また、e(X)はXのオイラー数を表わす。この予想は、2,3次元の場合には、いろいろなひとびとの仕事から、正しいことが知られている。 われわれは、論文[2][3][4]により、新しい観点から、2次元の場合に、この等式の数学的に興味深い説明を与えた。SL(2,C)の有限部分群Gに対して、Hilb^G(A^2),(G-軌道のHilbert scheme)を新たに導入し、そ構造を詳しく研究した。 まず、Hilb^G(A^2)は単純特異点A^2/Gの最小特異点解消となることを証明した。 Hilb^G(A^2)からS:=A^2/Gへの、自然な写像をπとし、Eをその例外集合とする。Hilb^G(A^2)の構造の主要な部分は、このEである。われわれは、Eを特別な多項式を用いて、完全に記述、分類した。 さらに、Eの点pには、G-不変なidealが自然に対応する。Iは無限次元のG加群だが,これから、自然に、有限G加群V(I)を、つくることができる。もし、pがEの非特異点ならば、V(I)は自明でない、既約なG加群であり、また、逆も正しい。 この新しい事実を用いると、Gの自明でない既約表現の同値類の集合と、Eの既約成分の集合同一視が得られる。これは、古典的なMcKay対応に他ならない、ことが、新たに購入した計算機を用いた計算などによって、証明できた。
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