研究課題/領域番号 |
08211218
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研究機関 | 富山大学 |
研究代表者 |
細野 忍 富山大学, 理学部, 助教授 (60212198)
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研究分担者 |
阿部 幸隆 富山大学, 理学部, 助教授 (80167949)
風巻 紀彦 富山大学, 理学部, 教授 (50004396)
菅谷 孝 富山大学, 理学部, 教授 (70018985)
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キーワード | カラビ・ヤウ多様体 / ミラー対称性 / 多変数微分方程式 / 共形場の理論 / トーリック多様体 / グルブナ基底 |
研究概要 |
Calabi-Yau多様体のミラー対称性は、非線型シグマモデルに二つの異なった位相的twistが存在することに由来し、それらはA-model及びB-modelと呼ばれている。二つのモデルが、量子化された弦理論として等価であるために、Calabi-Yau多様体Mに基づくA-modelは、ミラー多様体Mに基づくB-modelと量子論的に同じ理論になる。とくに、A-modelのmoduli空間上のFrobenius構造は、B-modelのmoduli空間上のFrobenius構造に、ミラー写像と呼ばれる(局所)正則写像のもとで同型になる。 この研究では、トーリック多様体をambient空間とする(完全交叉型)Calabi-Yau超曲面のミラー対称性とその応用について調べた。この様なCalabi-Yau超曲面については、ミラー対称性が多面体のpolar dualityとして記述されることが知られている。これまでの研究によって、周期写像が満たすPicard-Fuchs微分方程式が、Gel'fand-Kapranov-ZelevinskiによるA-超幾何微分方程式系(GKZ超幾何微分方程式系)から決定されることが示されている。 GKZ超幾何方程式系はミラー写像の構成に対して大変有効であることが分かっているが、次の点について一般的な定式化が必要である:1)moduli空間(変数の空間)のコンパクト化、2)large complex structure limitと呼ばれる境界点の存在、3)局所解の具体的な構成。この研究では、1)について、二次扇と呼ばれる量が有効に用いられるが、GKZ超幾何微分方程式系の詳しい解析から、Grobner扇と呼ばれる量がより自然な記述を与えることが明らかにされた。特に、発表論文では、Grobner扇に基づいて、large complex structure limitについて、その一般的存在を示し、2)の問題を解決した。
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