研究概要 |
Jackson積分を用いて定義される基底超幾何関数のみたす差分方程式と接続行列についての関連を明らかにすることが目標であった. q乗法関数のJackson積分の場合にはそのコホモロジーの構造を明らかにし,パラメータを特定方向に無限大にするとき,その漸近展開を与える安定サイクルを求める方法を与えた.一般のサイクルをこの安定サイクルを用いて表す表示式を与えた. 特に,対称A型Jackson積分で定義される基底超幾何関数はパラメータα,β,γ,X_1→X_mに依存するn変数q関数を格子上の和で定義したものである.α→±∞のときの漸近展開を与えるα安定(α不安定)サイクルを定義し,一般のサイクルをこれらの1次結合で表示する式を得た.又α安定サイクルとα不安定サイクルとの関係を与える接続行列をも与えた.その要素は楕円データ関数を用いた擬定数である.特にm=2ならば,この行列のGauss分解が陽に求められ,R行列が計算される.q-差分方程式のRiemann-Hilbert問題を解くことが出来てq差分方程式そのものも陽に求められる.
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