研究概要 |
1.線叢は3次元射影空間内の直線の2次元族のことである。方程式論的には2変数2未知関数の階数4の斉次線形方程式系と考えてよい。その同値問題はパラメータ空間上の平坦射影接続に帰着して解かれる。これによって、微分不変量を特定することが出来る。線叢は一般に2つの焦曲面を持ち、焦曲面の間の対応を与えている。従って、曲面のラプラス変換は線叢の立場から考えることが出来る。この歴史は古く、G.Darbouxの曲面論の本にはさまざまの扱いがなされているし、また、射影微分幾何の好個の題材であり、多数の研究が前世紀以来行なわれてきた。 2.線叢は非線形可積分系の見地からしても豊かな内容を持っている。典型的な方程式は戸田方程式、sinh-Gordon方程式である。幾何学的な対象として重要なものは射影極小曲面である。我々の見地からの過去の成果の整理はまだ行なわれていない。 3.この研究では、射影微分幾何のformulationを整理して、このような見地から線叢を見直すことを行なった。関連する話題を含めて、「超幾何系E(k,n)の定める写像について」(東工大,1996年6月3日),「常微分方程式の幾何-やさしい射影微分幾何」(東工大,1996年6月4-7日),「アファイン曲線について」(奈良女子大学,1996年11月11-15日),「射影微分幾何学の問題」(福岡大学,1996年11月20日),「Two topics on affine curves」(東北大学,1996年12月17日),「線叢の幾何」(北海道大学,1997年1月21日)の講演を行なった。これらの講演及びこれまでの講義を基に"On line congruence and Laplace transformation"にまとめている。
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