本研究は宇宙の色々な階層の天体に普遍的に存在する高温プラズマの物理状態を明らかにするために、X線天文衛星「あすか」のデーター解析を行うとともに、2000年2月に打ち上げられるASTRO-E衛星の基礎開発を行うことを目的とした。 強磁場激変星EXHyaに含まれている白色矮星表面の高温プラズマを「あすか」で分光観測し、そこから得られる重元素からの輝線の強度を用いて、白色矮星の質量を求める全く新しい方法を確立した。この結果はAstrophysical Journal誌上で既に発表されている。この他、天空上に突然現れた新天体AXJ2315-592が強磁場激変星であることも「あすか」による観測によって突き止めた。 ASTRO-Eに搭載されるX線望遠鏡の較正試験を行うために、宇宙研にあるX線ビームラインの立ち上げも行ってきた。較正システムは真空系、望遠鏡と検出器を同時に移動させるステージ系、およびデーター取得系からなる。本年度はこれらの系をそれぞれに信頼性をもって動作させ、さらに全系を組み合わせて較正試験を開始できるまでに立ち上げることに成功した。望遠鏡は1997年4月中旬から1999年にかけて宇宙研に搬入され較正試験に供される。本研究が較正試験系の立ち上げに果たした役割は大きい。
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