共振器中で起こる自然放出は、発光媒体の共振器擬モードへの結合により制御される。平板形微小共振器の擬モードは、ファブリィ・ペロ-共振器の共鳴ビームの開き角で規定され、その半径は共鳴次数、反射鏡反射率などで与えられる。また対応する出力ローブの開き角は、モード半径と波長により定まる回折角で与えられる。さらにこのモードのスペクトル的な広がりは、共振器の縦方向での共鳴幅で与えられる。半導体量子井戸を活性媒質とする場合について、これらを実験的に検証した。使用サンプルは1λ(=962nm)のGaAsスペ-サの中央部にIn_0._2Ga_0._8Asの量子井戸を3層備えたもので、光励起により常温で測定した。スペクトル幅およびモード半径について理論との相当の一致が得られた。ただしモード半径は自然放出光の開き角から推定した。 このサンプルは励起入力150mwに至るまで発振に至らなかったので、その理由を半導体量子井戸利得スペクトルのキャリア濃度依存性を考慮して考察した。励起入力とともにキャリア濃度が増加するが、これに伴って利得ピーク波長は短波長側へシフトし、共振器共振波長からずれて行き、また、共振器共振波長における利得は飽和する傾向を示すことが、モデル計算により示された。 さらに、使用サンプルの分布ブラッグ反射鏡は、AlAsとAl_0._2Ga_0._8Asにより構成された反射率95%のものであったが、発振に至らなかった理由としてこの反射率が低すぎた可能性も考えられたので、自然放出結合係数のモード体積を介しての反射鏡反射率依存性をも考慮して最適反射率の計算を行い、95%は最適値より低い値であったことを見いだした。
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