前年度までの研究成果を基礎として、InAs/AlGaSbヘテロ構造のMBE成長の改良を進め、電気的特性の良い2次元電子系の形式について研究を行い、成果を得た。2次元電子濃度の制御方法についても、新しい2重量子井戸構造の利用により研究成果を得た。InAsヘテロ構造をフォトリソグラフィーにより量子細線に加工し、選択エッチングの技術を駆使することにより、比較的均一な100nm〜1μmの線幅をもつ量子細線を作製することができた。その磁気抵抗を極低温で測定した結果、弱い局在によると思われる。負の大きな磁気抵抗を観測した。その磁界依存性が高磁場領域まで見られる結果については、さらに理論的な解析を行う必要がある。これらの指定1次元電子に高電界を印加して、その電子速度の測定を行った。その結果、細線幅が小さく、かつ細線長が増大するにしたがって速度が増大することが分った。これは1次元電子系の電子フォノン相互作用が小さくなるためと考えられ、デバイス応用上重要な結果である。
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