二酸化炭素超臨界流体中でのピレンの吸収スペクトルは通常の条件下のものとおなじ振動構造を持っているが、8〜10nmブルーシフトしたものが観測された。ピレンの溶解度は約10^<-5>Mであった。 ピレンの発光スペクトルは通常の発光と同じ波長領域に現われる。これに加えて、エキシマーによる発光帯が観測された。単量体の発光強度は吸光量に比例しているが、エキシマー蛍光の強度は吸光量に関係なくほぼ一定であった。単量体の発光寿命(100ns)は通常の室温における極性溶媒中の寿命に近く、エキシマー発光の寿命(12ns)も通常の条件下のものとほぼ同じである。 二酸化炭素超臨界流体でのテトラセンの溶解度は約10^<-5>Mと見積った。単量体の吸収端よりも長波長である525nm付近にブロードな吸収帯が観測された。この吸収帯は以前に低温剛体中で観測したテトラセン2量体によるものとよく一致しており、超臨界流体中では室温以上でも2量体の生成が可能であるものと思われる。500nmで観測された減衰曲線は1次(13ns)であったが、550nmでの減衰曲線には12nsと22nsの2つの減衰成分が存在しており、吸収スペクトルと合わせて、テトラセン2量体の存在が確認できたものと考えている。
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