研究概要 |
フェナントレンとN,N-ジメチルアニンリンのメチレン鎖連結化合物の分子内エキサイプレックス蛍光の磁場効果(0-約14T)に対する溶媒・鎖長・温度の影響を定常光法・過渡吸収法・ナノ秒レーザー蛍光分光法により詳細に研究した。磁場効果はエキサイプレックスと速い動的平衡にあるラジカルイオン対の一重項一三重項項間交差に磁場が作用したためと説明される。テトラヒドロフラン中では磁場効果は観測されないが、ジメチルホルムアルデヒドなどの極性溶媒中で顕著な磁場効果が観測された。このことはエキサイプレックスとラジカルイオン対の相対的安定性により説明された。磁場効果は鎖が短いときは磁場効果はほとんど見られないが、鎖が長くなると顕著となった。このことはラジカルイオン対の一重項と三重項のエネルギーギャップが鎖長に依存するためである。また温度上昇により鎖の末端間距離が短くなりその結果一重項と三重項のエネルギーギャップが増大することが分かった。1T以下の低磁場での蛍光寿命・強度の増大は等方的超微細相互作用に、また1T以上の強磁場における蛍光寿命・強度の減少は△g機構により説明された。
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