金属酸化物の酸化還元特性や光反応性に着目して、TiO_2光触媒の表面を種々の酸化物で修飾したときの光触媒特性を検討した。光触媒活性はメタノール水溶液からの水素生成反応で検討した。活性は定常反応時の1時間あたりの水素生成量とした。 金属酸化物を添加したTiO_2の光触媒活性は、TiO_2単味より増大した。最適添加量に注目すると、0.1wt%以上の添加が有効な酸化物と、0.1wt%以下の添加が有効な酸化物の二種類に区別できることを確認した。さらに、定常反応確認後、420nm以下の波長をカットして光を照射したところ、後者のグループの鉛、錫酸化物を添加した触媒で、光触媒活性が観測された。これらの添加効果を銅、鉛酸化物を添加した触媒で検討した。 酸化銅を添加したTiO_2を触媒としたとき、経時変化より3時間程度の誘導期が観測された。その時、触媒の状態変化をUV拡散反射スペクトルで観測した結果、時間変化とともにCu_2Oの吸収帯が観測された。吸収帯強度から計算されたCu_2Oの量は触媒中への添加銅イオンの量と一致した。この結果、添加したCuOが誘導期にCu_2Oに還元された後、光触媒反応が進行していることを確認した。 酸化鉛を添加した触媒では、同様に3時間程度の誘導期が観測された。定常反応確認後、低波長光をカットして光照射したところ反応の進行が確認された。しかし、その活性は徐々に低下した。光触媒活性の担持量依存性より、活性は担持量の増加とともに増大し、添加量0.01wt%で最大値を示し、それ以上で活性は低下した。全光照射の活性と長波長光照射の活性の依存性は同様であった。この結果から、酸化鉛添加TiO_2の光触媒反応は二種類の光を吸収して進行することが判明した。
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