研究概要 |
本研究では、希土類イオンと細胞との相互作用について検討することで、次のような結果が得られた。 1)B16メラノーマ細胞の形態を種々の希土類イオン存在下で観察した。細胞形態はイオンの種類に応じて大きな変化を示した。La,Ce,Nd,Sm,およびGdでは細胞の面積が広がり、特にSmとGdでは細長い突起が多く見られた。Er,Tb,Lu,およびAlでは線維芽細胞のように2方向に細長く伸展していた。B16メタノーマ以外のHela細胞、神経細胞、肝癌細胞などでは顕著な形態変化が見られなかった。イオンを取り除くと細胞形態は元に戻ることから、分化ではなく、アクチンの重合系にイオンが影響しているものと予想される。 2)1mM程度の希土類イオンは細胞増殖を顕著に抑制した。しかし細胞毒性はこの濃度では全く観察されず、イオンを除くと細胞は再び増殖を始めた。増殖抑制の程度はイオンの種類と細胞の種類に依存していた。細胞の増殖抑制は細胞周期の結果と良い対応が見られ、G1期で増殖が停止していることが示された。
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