希土類イオンを酸化ルテニウム電極作製時に添加すると、希土類-ルテニウム複合酸化物電極が得られた。作製時に電極中に含まれていた希土類イオンは、硫酸溶液中ですべて溶出した。希土類イオンが溶出した後の酸化ルテニウム電極は、BET表面積が溶出後2倍になり、高い電気化学活性表面積を示した。一方、作製時に電極中に含まれていた希土類イオンは、水酸化ナトリウム溶液中ではまったく溶出しなかった。BET表面積は希土類が溶出した場合より少ないにもかかわらず、電気化学活性表面積は大きかった。希土類イオンがBET表面積あたりの活性を高めると考えられる。 酸化ルテニウムと同様な構造をもち、酸素発生電極材料としても有用な酸化イリジウムについても、希土類イオンを添加して作製し、希土類イオンを硫酸中で溶出するという方法により、高活性表面積酸化イリジウム電極を作製できた。 ランタンによって多孔化された酸化ルテニウム電極の、酸素発生および塩素発生に対する電極触媒活性を、通常の塗布法で作製した酸化ルテニウム電極と比較検討した。ランタンによって多孔化された酸化ルテニウム電極では、通常の酸化ルテニウム電極と比べて、電気化学表面積の増大によって酸素発生、塩素発生ともに触媒活性が量的に向上していたが、とくに酸素発生については低電位からの酸素発生という質的な向上が得られた。ランタンによって多孔化された酸化ルテニウム電極は酸素発生に有利な電極であると考えられる。
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