一昨年度と昨年度においては擬ポテンシャル半径を用いて、有効sd混成度など希土類元素の種々の結合特性について報告した。本年度においては、結合軌道モデルを簡略して導出される2種類のバンドパラメーター(混成関数:Hとギャップ減少パラメーター:S)を用いて結晶構造マップを作成し、この結晶構造マップに基づいて希土類元素の炭素化合物の構造形態と結合状態を検討した。その結果、炭素と他の元素間の結合状態と構造形態はH/S比に依存することが示され、希土類元素の炭素化合物の結合形態は層間挿入型と3次元構造の遷移領域にあることが明らかとなった。また、希土類元素と炭素間の結合に対するイオン度は0.67〜0.70の値を示し、ほとんどsp性でsd混成を介した4f電子の効果はほとんどないことが示唆された。このようなアプローチを種々の元素のフラーレン内包性に適用して同様の構造マップを作成した結果、これらのフラーレン内包性は炭素と内包元素のsp結合性によって理解されることが明かとなった。さらに、フラーレンの炭素と他の元素間のイオン度が0.624以上である場合には、フラーレンに内包されることが明らかとなった。
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