研究概要 |
a.一連のCetyl-Ln(III)W10のアルコール、オレフィンに対するH202-酸化触媒活性:中心のLn(III)イオン径の収縮につれて、ベンジンアルコールのアルデヒド化活性は増大し、シクロオレフィンのエポシキ化活性は逆に低下した。この結果は、中心にLn(III)を含むポリタグステン酸がパーオキソ-ポリタングステン酸錯体の大きな配位子として作用したためであるとして都合良く解釈された。その際に、Ln(III)の化学的作用、4^<fn>-電子の結合相互作用、の寄与が示唆された。 b.無(有機)溶媒下でのCetyl-HoW10触媒によるアルコール、オレフィンのH202酸化反応:本H202-Cethl-HoW10触媒系は、用いる溶媒の種類と量によりその作用状態と活性が大きく異なった。特に、Cetyl-HoW10は有機溶媒の無い系で、90℃の高温で極めて安定に振る舞い,各種アルコールやオレフィンのH202酸化に高活性、高選択的触媒となった。この触媒の高い安定性も中心のLn(III)イオンの化学的作用に基づくことが示唆された。 c.Cetyl-HoW10触媒を用いるアリルアルコールのH202酸化反応速度:速度解析と触媒作用機構:一連のCetyl-LnW10(Ln:La-Yb)触媒について、1-octene-3-olのH202酸化活性をCHCL_3溶媒下で測定し、epoxy,enone生成速度および生成epoxideのジオステレオ選択性(erthrolthreo)に対するH202濃度と温度の効果について詳細に検討した。その結果、epoxide生成速度はH202濃度の一次に、enone生成速度は零次に従うことがわかった。生成epoxideのerythro/threo比はH202濃度に関係なく常に1.1に保たれた。低温ほど、epoxy化がketo化に較べ有利に進み、ジオステレオ選択性については、erythro化が有利に進んだ。この結果に基づき、Cetyl-LnW10触媒の詳細な作用機構を提案した。
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