研究課題/領域番号 |
08223202
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
村山 茂幸 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (10157802)
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研究分担者 |
関根 ちひろ 室蘭工業大学, 工学部, 助手 (60261385)
高野 英明 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (70154804)
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キーワード | 重い電子系 / 遍歴電子型 / 反強磁性 / SDW / フェルミ面のネスティング / フェルミ面のギャップ / BCS超伝導 |
研究概要 |
大きな磁気異方性を持つ常磁性の重い電子系CeRu_2Si_2のRuサイトをRhで置換したCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2は0.05<x<0.3で遍歴電子型の反強磁性秩序が存在する。最近の中性子回折実験により、この磁気秩序はc軸方向にスピン偏極し、incom mensurateな波数をもつサイン構造をしていることが明らかになった。 そこで、本研究においてCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2,x=0.15の単結晶試料を用いて、電気抵抗、磁気抵抗、磁場中比熱、磁化率の測定を行い、この系のフェルミ面の状態および反強磁性秩序の起源を探った。その結果、ネ-ル温度T_N=5.5Kにおいて、フェルミ面がc軸方向に沿って部分的にギャップを開くことが確認された。また、T_Nは磁場の増加に従って低温側に移動し、B=4Tにおいて、反強磁性は消失する。T_Nの磁場依存性から得られるB-Tカーブは、BCS超伝導やこれに基づくSDWの平均場理論のギャップΔと温度Tの関係に一致する。ギャップの大きさはΔ=10Kと見積もられた。また、T_N以下の低温極限でも、フェルミ面上でギャップが開かず依然として残留する重い電子は全体の約65%であることが判明した。以上の結果から、この系においてc軸方向に沿って重い電子のフェルミ面のネスティングが発生し、フェルミ面の一部にギャップが開くことが初めて示唆された。従って、この系の反強磁性はフェルミ面のネスティングに伴うSDWであると結論づけられ、重い電子の特異な基底状態の一端が明らかにされた。
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