研究課題/領域番号 |
08223215
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松浦 民房 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (10022609)
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研究分担者 |
吉岡 英生 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40252225)
大野 義章 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (40221832)
黒田 義浩 名古屋大学, 大学院・理学研究科, 教授 (60013504)
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キーワード | 重い電子 / メタ磁性 / 1 / N-展開法 / 磁気揺らぎ / 電荷揺らぎ / d-p模型 / ズレーブボゾン / 強相関効果 |
研究概要 |
重い電子形成とそれに伴う物性異常をアンダーソン格子模型を用いて研究してきた。電子間に働く強い斥力の効果を補助粒子(slave boson,pseudo-fermion)及び束縛条件を用い、1/N展開法を援用して調べてきた。得られた結論は以下のようである。 1.CeRu_2Si_2のメタ磁性の起源について1/N展開の0次近似の範囲で調べた。地場が存在しないときにはslave bosonのエネルギーがpseudo-fermionのエネルギーより低く、伝導電子はLuttingerの総和則による大きなフェルミ面を持った状態になる。しかし地場の増大とともに、pseudo-fermionのエネルギーが下がり、slave bosonの準位と逆転する。この結果、フェルミ面は小さくなる。これはdHvAによる観測と一致し、またその際のdM/dHの跳び、Mの急な増大とも一致する。 2.強相関電子系(d-p模型)に存在する強い電荷揺らぎによる超伝導発現の可能性を調べた。電荷揺らぎの振動数依存性を取り入れると(遅延効果)超伝導が出現する。 3.強相関電子系(d-p模型)の磁気揺らぎと電荷ゆらぎを調べ桁。局所的にslave boson,pseudo-fermionを交換する過程によるバ-テックスをRPAにより取り入れると、磁気揺らぎ電荷揺らぎは競合する結果を得た。d-p模型では、dopingの小さい所では磁気揺らぎが勝ち、dopingの大きい所では電荷揺らぎが勝つ。 4.強相関電子系に存在する強い磁気揺らぎが伝導電子の状態に及ぼす影響を調べた。伝導電子は磁気揺らぎによりその分散関係を変えられ、特に反強磁性の発生する領域では不安定となり、系は絶縁体となる。
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