U-III族U-IV族化合物にはエンハンスパウリパラを示すUSi3、UAl3、UGe3、から重い電子系のUSn3やUGe5を通って、遍歴反強磁性や局在モーメント磁性を示すUGa3、UGa2、UIn3等まで、興味深い化合物群が存在している。UGa2は、その5f電子が局在していると考えられており、一連のU-III族U-IV族化合物の参照化合物と見なされている。この観点から、本研究では出発点としてUGa2(六方晶)を取り上げた。UGa2の5f電子の振る舞いを捉えるためにドハース・ファンアルフェン効果、ホール効果、磁性等の測定を行っている。結晶育成は日本原研の結晶育成施設を利用して行っている。微結晶の成長が起こり易く単一結晶を育成することは容易でなかったが、RRR=170に達する小結晶を得ることができた。この結晶を用いてdHvA効果の測定は行われた。観測されたフェルミ面は球状で振動数はほぼ30Tであった。30Tの振動から求まるサイクロトロン質量は0.2であった。この質量は遍歴磁性を示すUPd3の質量に匹敵しているおり、重い電子系とに属するものといえる。またdHvA振動数は磁場の増加と共に増加することも見いだされた。磁化は一軸性の異方性から大きくはずれており、c面内に大きな異方性がみられた。35Kに磁化の不連続な飛びが見られ、構造相転移のあることが示唆された今後、良質な結晶を育成を試み、詳細なdHvA効果の測定を行うなかで、異常な周波数の磁場依存性の原因究明を図りたい。
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