本研究の第一の目的は、遍歴的な重い電子系の電子電子相互作用による質量増強因子を、周期的アンダーソン模型に基づいた2次の自己エネルギーの表式を用いて計算する事であった。実際、CeRh2、CeCo2、CeRu2、CeSn3等の質量増強が10程度の2次摂動が適用出来ると予想される化合物に関しての計算は終えた。これにより、de Haas-van Alphen効果の実験との一致のよいフェルミ面を持つ物質については、質量増強因子の一致もよい事が解った。また、合わせてLaRh2強調に寄与しないことが解った。これらの結果は投稿準備中であり、さらに計算手法を発展させ、現在はk依存性を考慮した質量増強因子の計算を行い、サイクロトロン有効質量の方向依存性がどの程度再現されるのか調べている。 また、通常のバンド計算の手法を用いて、LaCu2、YbSn3、LaFe4P12、LaNi2Al5、YbSb2、Yb4As3の電子構造計算を行い、de Haas-van Alphen効果や光電子分光の実験結果と比較することを通じて、これらの物質の電子構造を明らかにした。Yb4As3に関しては、電荷秩序した後の三法格子の構造のモデル計算も行った。LaCu2とYbSn3に関しては、フェルミ面に関して実験との一致は極めてよい。LaFe4P12に関してはp-f混成効果のために、実験を説明するフェルミ面を得るには局所密度近似に対する補正が必要であることが解った。その他の化合物に関しては、現在、実験結果との詳細な比較・検討を行っている。
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