研究課題/領域番号 |
08224101
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研究機関 | 山口大学 |
研究代表者 |
相原 正樹 山口大学, 工学部, 教授 (70091163)
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研究分担者 |
高橋 聡 山口大学, 工学部, 助教授 (80212009)
稲垣 剛 山口大学, 理学部, 助手 (10253139)
飯田 武 大阪市立大学, 理学部, 教授 (80047191)
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キーワード | 半導体 / 励起子 / ジョセフソン効果 / 電子正孔素 / 多体効果 / BCS状態 / 超流動 / 光ブロッホ方程式 |
研究概要 |
高密度電子正孔系の量子多体効果は、電子と正孔の寿命や空間拡散による密度の低下、およびキャリア衝突効果や電子光子相互作用による位相緩和現象などによって実験的観測は困難であることが多い。しかし、本研究における巨視的量子現象の秩序変数の位相に依存した光学現象の理論解析により、多体効果がより顕著に観測し得ることが明らかにされた。その第1は光ジョセフソン効果で、結合した2つの半導体を2本の位相差のあるコヒーレント光束で励起したとき、電子正孔対のトンネル超流動によって、透過光の強度差が入射光の位相差に依存して変化する現象である。今年度は、電子正孔BCS相における従来の解析を励起子ボ-ズ凝縮相にも統一的に適用し得るように発展させた。BCSエネルギーギャップの1乗および3乗に比例する項を含む透過光強度の表式を導出した。第2の成果は、パルスやステップ励起による過渡現象の解析である。一般化された半導体光ブロッホ方程式を数値的に解くことにより、量子多体効果が位相緩和に打ち勝って光吸収が時間的に振動することが示された。すなわち、量子多体効果を考慮しない場合にはキャリア衝突による緩和現象によって吸収が単調に飽和する場合でも、電子正孔ペア凝縮状態による物質の自発的コヒーレンスにより、光と物質系との位相差に依存した過渡的振動現象が起こる事が明らかにされた。この解析に使われた一般化された半導体光ブロッホ方程式というのは、乱雑位相近似により位相緩和の運動量依存性と時間依存性を考慮に入れた粒子数と電子分極に関する運動方程式である。その結果、電子正孔系における巨視的量子効果が、過渡的光学現象を通してより明確に実験的に観測し得ることが示された。以上の結果は、Physical Review Letters誌、及び、第2回「凝縮系における励起子過程に関する国際会議」(招待講演)などで報告した。
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