ジョセフソン接合中のク-パ-対を用いた輻射場制御の可能性を探り、輻射場と電子場の量子ダイナミクスの解明した。量子化されたマイクロ波光子場を電子系によって制御する方法の一つとして、輻射場で満ちたジョセフソン接合共振器中をトンネルするク-パ-対を考察し、それを記述する「結合ボゾンモデル」を構築した。定電流電源で電流バイアスされたジョセフソン接合では、ジョセフソン位相の古典量周りの量子揺らぎと接合共振器中の輻射場とが非線形相互作用する。その準古典極限(電子系はc数で近似)は以前に考察し、直交位相振幅スクイズド光が得られる結果を得たが、今年度は結合ボゾンモデルを用いて輻射場の直交位相振幅スクイジングや光子数統計の超伝導電流による制御可能性を明らかにできた。また、輻射場との相互作用に起因する反作用として超伝導電流の揺らぎも特異な性質を持つことがわかった。このモデルでは、電子場と輻射場との無限次までの相互作用をセルフコンシステントに取り入れ、2次の相互作用に置き換える自己無撞着調和近似を用いている。この方法では近似の程度を系統的に上げることが可能なため、物理的考察がしやすい。しかし、強い非線形相互作用のため、輻射場と電子場との状態の時間推移の数値計算は数値誤差や積分法に敏感で、解の爆発などの強い非線形現象も現れることがわかった。
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