ガスタービン燃焼器では希釈空気導入により一次燃焼領域で生成したNOが燃焼器内でNO_2へと酸化されるため、高濃度のNO_2が身近に排出されることになり問題である。 本研究では水素とメタン燃焼について、燃焼器内でのNOとNO_2への変換機構を調べる数値モデルを作成し、大気圧下でのNO_2の生成を詳細な化学反応を考慮して解析した。NO_2の生成機構の解明から燃焼器内でのNO_2の生成を抑制する方法を検討した。また、燃焼ガス中のNO_xを積極的にNO_2に酸化し、アンモニアを添加し硝安として、あるいは水や吸着剤に吸収・吸着させて除去する方法の可能性について検討した。 その結果、以下のことが明らかになった。(1)燃焼器内では、NO_2は高温の燃焼ガスと希釈空気が混合する600〜800Kの温度領域で生成する。1000Kより高くなると生成したNO_2もNOへと還元される。NOとNO_2への変換には、この混合領域で生成するHO_2によるNOの酸化反応が最も重要である。(2)水素とメタンのNO_x排出指数を比較すると、同じ当量比では火炎温度の高い水素のほうが高いにも拘わらず、水素のほうがNO_2の生成は低い。水素メタンより燃焼ガス中のH、OH、O等の活性化学種を多く含み、混合領域に生成したHO_2がこれらの活性化学種により分解されるためである。(3)燃料周囲の燃焼用空気にCH_4、CH_3OH、CO、H_2等の燃料が含まれる場合、HO_2の生成が促進され、その結果、NOのNO_2への酸化も促進される。これらの燃料の中CH_3OHがNOのNO_2への酸化に最も効果的な添加燃料である。
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