研究概要 |
古典液体粒子のメゾスコピック領域での特異な揺らぎと拡散の性質を明らかにするための本年度の実施計画は、 1。分子動力学法へのシンプレクチック積分法の導入。 2。関連分野の研究者との交流による、理論及び数値実験研究の準備。 3。マスター方程式、ランジュバン方程式、フォッカープランク方程式の研究。 4。特に、拡散係数が揺らぐガウス過程による、粒子拡散の異常の研究。 であった。 1。に関しては、同積分法を二次から八次までに付いてレナードジョーンズ系に適用し、長時間の分子動力学におけるこの計算方法の際だった有効性、この計算方法を使用するに当たっての次数選択の指標を明かにし、成果をInt.J.Mod.Phys.Cに発表した。 2。に関しては、YKIS 96(湯川国際シンポジュウム)や、重点領域「複雑液体の物理」国際シンポジュウム等に参加発表し、(内容はSuppl.Prog.Theor.Phys.に発表予定)研究交流を行った。 3。に関しては進展が遅く、引き続き研究の継続が必要である。 4。に関しては、メゾスコピックな時間領域の後半での粒子拡散の異常が、ガウス過程の拡散係数の揺らぎとして理解出来ることを明らかにした。(未発表) 尚、昨年度のPHONON 95(Sapporo,1995)国際会議での関係テーマの発表内容は本年度PhysicaBに発表された。その趣旨は本年度、信頼度の高い計算方法及びより能力の高い計算機で追試され発展し、YKIS(Prog.Theor.Phys.)で発表された(る)。それらの成果は、本年度末の日本物理学会での発表後の論文として公表の予定である。
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