本年度行った研究には次のようなものがある。 1)スピン・パイエルス物質CuGeO3の単結晶作製。 その結果30グラムに及ぶ良質の単結晶を15本ほど得ることが出来た。 2)そのスピンダイナミックスの中性子散乱による実験研究。 その結果量子効果により現れるスピン波連続励起領域の全貌を世界で初めて明かすことが出来た。 3)酸化物高温超伝導体YBa2Cu307-d単結晶の作製。その結果世界トップレベルの良質の単結晶を15グラム得ることが出来た。 4)その中性子非弾性散乱により、高エネルギー磁気励起の全貌を観測することが出来、これ迄知られていなかった、エネルギー領域までスピン揺らぎによる励起のあることが判明した。 5)酸化物高温超伝導体LaSrCuO4単結晶試料についての高エネルギー磁気励起の中性子散乱実験研究。本年度は昨年度に得た実験結果の解析に多大な努力を払った。その結果、これまで知られていたものとかなり異なる新しい事実を得ると共に、磁気励起の詳細を議論できるようになり、現在、理論との対比を行っている。
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