研究概要 |
高温固体電解質型燃料電池用固体電解質として、安定化ジルコニアに代わる、易焼結性で、高い酸化物イオン導電性を示す、新規な固体電解質の開発を行った。M_2O_3-CaO(M:Y,La,Gd,Dy)系およびLa_<2-X>-Sr_XMgZrO_<6-1/2X>系をゾル-ゲル法で合成し、焼結後その特性を検討した。金属酢酸塩または硝酸塩を所定の組成比で秤り取り、少量の蒸留水で溶解し、12時間攪拌後アンモニア水を添加しpH調整しゲル化させた。70℃で2〜3日間の予備乾燥後、100℃、300℃、900℃で各6時間仮焼した。微粉砕後-100meshふるいを通過したものを、直径13mm、厚さ1〜2mmの円板状に8ton/cm^2で静水圧プレスにより成型した。空気中で1350℃で、8時間焼成した。焼結体の両面に白金ペーストを焼き付け導電率および輸率測定試料とした。周波数応答特性測定器による交流インピーダンス測定から全導電率を求め、空気-酸素濃淡電池、水素-空気燃料電池の起電力から酸化物イオン輸率を測定した。粉末法X線回折(XRD)により、生成物の相と結晶構造を検討した。XRDにより、作製試料は2成分金属酸化物の単純混合相(M_2O_3-CaO)か、ランタニド酸化物の固溶体とCaOの混合相(M_<2-X>Ca_XO_<3-X/2>-CaO)であることがわかった。各系の空気中で測定した500℃以上での導電率はLa_2CaO_4>Dy_2CaO_4>Gd_2-CaO_4>Y_2CaO_4の順になり、800℃での値はそれぞれ1.34×10^<-4>,2.91×10^<-5>,1.12×10^<-5>,8.54×10^<-7>S/cmであった。導電の活性化エネルギーは600〜900℃の範囲でそれぞれ81.6,109,87.8,156kJ/molであった。La_2CaO_4の酸化物イオン輸率は、低酸素雰囲気となる水素-空気燃料電池の起電力からはほぼ1であった。ペロブスカイト構造をとることが報告されているLa_2Mg-ZrO_6をゾル-ゲル法で合成し、さらにLa^<3+>の一部をSr^<2+>で置換し、酸素空孔を導入したLa_<2-X>-Sr_XMgZrO_<6-1/2X>系試料を作製し、導電率測定の結果、La_2MgZrO_6の導電率はかなり小さかったが、Sr^<2+>の置換により向上がみられた。XRDで、この系はXの広い範囲でペロブスカイト構造をとることがわかった。
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