研究概要 |
本年度は二通りのアプローチの研究を進めた.第一は(I)レーザーアブレーション法とパルス希ガス吹き付け法によりSiのクラスター形成を行い,そのクラスターと超微粒子(総称してナノクラスターと呼ぶ)形成の動的機構,及びSiO_2薄膜中のSiクラスターを時間分解レーザープラズマ軟X線吸収分光法により調べた.先ずSiとSiCのレーザーアブレーションでクラスター生成の動的機構を調べ,0から15μsまでの時間領域においても顕著なクラスター化は起こっていないことを明かにした.また,Siクラスターの軟X線吸収線については,SiO_X膜をポリカーボネート薄膜上に堆積し,レーザープラズマ軟X線吸収分光でその場測定して調べ,約105eVのSiO_2L_<II,III>吸収端よりエネルギーの低い領域で102.5eVから吸収が立ち上がり,103〜104eV付近にピークを持つ幅の広い吸収線を見い出した.これはSiO_X膜中の酸素欠損部分に存在するSiクラスターによるものと考えられる.第二は(II)シリコンナノクラスターの表面反応を調べるため,主にフーリエ変換型赤外吸収分光(FTIR)とフォトルミネッセンス(PL)により評価を行った.堆積膜を大気中に取り出した後,HF酸処理を行い,その後の経時変化を調べた.その結果,HF処理直後はナノクラスターの表面が水素タ-ミネーションされ,Si-HのIR吸収が観測され,その後,大気中での酸化により時間とともにSi-Hは減少し,S-O-SiのIR吸収が成長してくること,さらに,これに伴い1.6eVのPLが成長してくることが見い出された.
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