研究課題/領域番号 |
08230212
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
平山 博之 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助教授 (60271582)
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研究分担者 |
高柳 邦夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (80016162)
大島 義文 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (80272699)
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キーワード | ボロンクラスター / XSTM / 操作トンネル顕微鏡 |
研究概要 |
高濃度ボロンイオン注入を行ったSi(lll)ウエハ-試料の劈開断面STM観察を行い、界面のSTM像が注入ボロンの深さプロファイルに対応して変化することを確認した。具体的に本研究では、p型Si(lll)ウエハ-(比抵抗0.02Ω・cm)に30KeVのBF_2^+イオンを1×10^<17>cm^2注入した試料(チャネリング条件は不明)を準備し、これを超高真空STMチャンバー内で劈開し、その断面をSTM観察した。ステインエッチ後のSEM観察から判断して、この試料中では注入Bはウエハ-表面から1ミクロン程度の領域に高濃度に堆積されている。試料劈開後、アニールを行った。{lll}劈開断面のSTM観察により、注入されたBが高濃度で蓄積されている、ウエハ-表面から1ミクロン程度の領域に対応した劈開断面の部分ではB-richな清浄Si(lll)に特徴的な√3×√3構造が観測された。またBイオン注入の到達していないB-freeなウエハ-内部に相当する劈開断面の部分では、清浄なSi(lll)表面に現れる7×7構造が観測された。B-richとB-freeな領域の間に存在する注入B濃度の遷移領域では、disorderな構造が劈開断面において観測された。 特に注入B原子が高濃度から低濃度に変化する遷移領域に現れるdisorder phaseに関して、その中のBおよびSi原子の占有するサイトを、STM像のバイアス電圧依存性から決定した。またこの試料に関して、アニールを繰り返すとB濃度の遷移領域にクラスターがイメージされることを観察した。このクラスター像に関して、これが高濃度ボロンイオン注入時にSi結晶中に形成されることが指摘されている正20面体ボロンクラスターである可能性を検討した。しかし検討の結果、これはイオン注入時に結晶に混入した遷移金属を核としてその回りにSi原子が配位した遷移金属クラスターであると結論した。
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