研究概要 |
多成分微粒子を優れた調製法の一つである噴霧反応法を適用して、複合酸化物、担持金属等の複合微粒子を合成し、その構造と物性をXRD,TEM,IR,昇温還元等により検討し、触媒機能を評価した。本年度の成果としては、サブミクロン微粒子の形状制御、成分の分布状態、触媒活性と特徴的な担持効果を明かにしたこと、さらに、その原因として、複合微粒子の微細構造の寄与、及び、成分間の強い協同効果に起因することを推論した。触媒系としては、Ru^0/Al_2O_3系によるCO_2変換反応とNi^0/Al_2O_3系触媒によるCO水素化反応を対象とし、含浸法、ゾル-ゲル法とも比較した。 その結果、Ru^0/Al_2O_3系触媒によるCO_2水素化の序列は、噴霧法>噴霧-含浸ハイブリッド法>含浸法の順であった。助触媒としてのアルカリ金属の添加についても成分間の相互作用の強い噴霧触媒が優れていること。その促進効果は、Li>Na>K>Rbの順で、噴霧触媒では高いメタン化選択性を維持したまま活性の向上が可能であった。 Ni^0/Al_2O_3系触媒では、NiOの還元により生成するニッケルクラスターが、耐還元性のNiAlOxと相互作用により高い触媒活性を発現し、Al_2O_3微粒子の担体より有効であることがわかった。この結果は、噴霧反応法による複合酸化物微粒子担体の特徴を示唆し、新規固体触媒設計への指針を与えるものである。
|