本研究の目的は ・種々の評価や応用が可能なセンチメーターレベルのゼオライト単結晶の合成 ・異なる細孔を接合させるための単結晶上でのゼオライト薄膜のエピタキシャル成長 の2点である。十分大きな単結晶の合成とこれを基板とした薄膜化技術を開発することができれば、一次元の分子レベルの細孔を三次元の細孔とつなぎその先で封止するというような究極の構造制御、およびこれをもとにした特殊反応場の創出が可能となる。 テストチューブを用いた高温高圧の水熱合成法で、種結晶を用いない自発的核発生により最大1mm径のソーダライトの単結晶が得られた。アルミニウム源として金属Alを用いると、Al2O3を用いるときよりも低温で合成が行えるので、この系において高温で生じやすい生成物であるネフェリンの生成をさけることが可能である。 更に種々の条件下で、種結晶上での異種ゼオライトの薄膜形成を検討した。種結晶が存在した場合には、液相中での生成物が異なる場合があることを見出した。また天然チャバサイト結晶上にカンクリナイトの多結晶配向膜を合成することに成功した。種結晶合成時に偶然ではあったが、ソーダライト単結晶上にカンクリナイト単結晶成長したサンプルを得ることができた。そこで、この条件を種結晶存在下で実現すべく、種々の条件を変えて検討中である。 さらに条件をつめ、ゼオライト薄膜をヘテロエピタキシャル成長させることにより、異なる細孔を接合させ、細孔空間のネットワークを実現し、特殊反応場の創出に展開していきたい。
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