研究課題/領域番号 |
08232241
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研究機関 | 北陸先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
佐野 庸治 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助教授 (80251974)
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研究分担者 |
寺西 利治 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 助手 (50262598)
三宅 幹夫 北陸先端科学技術大学院大学, 材料科学研究科, 教授 (80112019)
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キーワード | ゼオライト / 脱アルミニウム / 固体高分解能NMR / 水蒸気 / 細孔容積 |
研究概要 |
NOx除去触媒の一つとして検討されている金属イオン交換ZSM-5ゼオライト触媒においては、ゼオライト骨格構造からの脱アルミニウムにともなう活性劣化が重要な問題となっている。昨年度は水蒸気雰囲気下におけるHZSM-5ゼオライトの脱アルミニウム速度が見掛け上骨格構造中のアルミニウム量の3次に比例することを見い出した。しかし、骨格構造外アルミニウム種の化学的状態や脱アルミニウムにともなうゼオライト細孔容積の変化などの詳細については十分には明らかにされていない。そこで、本年度ではスチ-ミングおよび熱処理により脱アルミニウム率の異なるHZSM-5ゼオライトを調製し、そのFT-IRスペクトルおよび水、窒素の吸着挙動から、水蒸気雰囲気下でのHZSM-5ゼオライトの脱アルミニウム挙動を検討した。 水蒸気分圧を0.1kg/cm^2とし、処理時間を変えた場合のゼオライトの水酸基領域のFT-IRスペクトルには、橋かけ水酸基および末端シラノール基に基づく3605および3740cm^<-1>付近に新たなピークが観察された。3665および3780cm^<-1>付近のピークはそれぞれゼオライト骨格構造中のアルミニウムの4本のAl-O結合のうち一部の結合が切断されたアルミニウム種、およびゼオライト骨格構造から完全に脱離したAlOOHの水酸基に起因すると考えられている。3665cm^<-1>付近のピーク強度は処理時間6時間まではスチ-ミング時間とともに増加したが、その後徐々に減少し処理時間72時間ではほとんど消失した。3780cm^<-1>付近のピークは3665cm^<-1>付近のピークが観察されたスチ-ミング初期の処理時間2時間では全く観察されなかったが、6時間以降そのピーク強度は増大しその後減少した。このことは、スチ-ミング処理にともなうHZSM-5ゼオライトの脱アルミニウムは、骨格構造中の4本のAl-O結合が一度に加水分解されるのではなく逐次的に加水分解されることを示している。なお、スチ-ミング処理後のゼオライトの細孔容積W_0(N_2)は処理前の値とほとんど同じであり、本実験条件下におけるスチ-ミング処理によるゼオライト骨格構造の破壊はほとんど起こっていないことが明らかとなった
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