研究概要 |
1.表面修飾CdS超微結晶の調製とキャラクタリゼーション ペンタフルオロフェニル基、2,3,5,6-テトラフルオロフェニル基、4-フルオロフェニル基およびフェニル基で表面修飾したCdS超微結晶で表面修飾したCdS超微結晶を調製した。調製した表面修飾CdS超微結晶の表面に種々のチオール分子が修飾していることは、FT-IR(KBr法)および1H、19FNMR測定により確認した。表面修飾CdS超微結晶は、TEM観察により、いずれも立法晶系CdS超微結晶であることが確認された。TEM写真より求めた微径分布より、修飾分子内のフッ素原子数の増大に従い、粒径が2.5nmから3.5nmへ系統的に増大しており、表面修飾分子の選択によりCdS超微結晶の粒径を制御できることが明らかとなった。表面修飾チオラートアニオンのCdイオンに対する求核性の低下が、表面Cd原子への結合による粒子成長停止反応を抑制し、粒径増大をもたらしたものと考えられる。 2.表面修飾CdS超微結晶の溶解性 表面修飾CdS超微結晶は、種々の有機溶媒に再溶解し、見かけ状均一なコロイド溶液を与える。いずれの面修飾CdS超微結晶もDMFやDMSOといった極性の高い溶媒に対し高い溶解性を示すこと、またその他の極性溶媒に対する溶解度は、修飾分子内のフッ素原子数に依存することを見いだした。特筆すべき結果として、表面修飾フェニル基にフッ素原子を導入することにより、全く溶解性を示さなかったアルコール溶媒に対し非常に高い溶解性を示す。 このアルコール溶媒に対する表面修飾CdS超微結晶の高い溶解性は、表面修飾基のフッ素原子とアルコール分子間の水素結合と共に、含フッ素ベンゼン環の中心とアルコール分子の酸素原子間との特異的相互作用も重要な役割を果たしていることが、分子軌道計算により示唆された。 3.表面修飾CdS超微結晶の光触媒特性 本研究で調製、単離した面修飾CdS超微結晶粉末のメタノールに再溶解させた系の光触媒活性を検討したところ、粉末として単離したのにも関わらず、高活性、高選択的量子箱光触媒として機能することが明らかとなった。
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