研究概要 |
平成7年度の研究に引き続き、ニッケルとパラジウムを共担持したY型ゼオライト触媒(Pd-Ni-Y)を用いたジベンゾチオフェン類の水素化分解に関する検討を行った。まずジベンゾチオフェンよりも難脱硫性化合物である4,6-ジメチルジベンゾチオフェン(DMDBT)を基質として反応を行ったところ、340℃、1時間、70気圧の水素加圧下の条件で基質がほぼ完全に分解されることが明らかとなった。DMDBTは一般に4-位および6-位の立体障害のため、反応性が非常に低いことが知られているが、初期反応生成物を分析した結果、DMDBT上のメチル基が分子内、分子間で転移しており、モノメチル化物、ジメチル化物、トリメチル化物、テトラメチル化物が生成していることが明らかとなった。また、ジメチル化物中の4,6-異性体の存在割合も低下しており、より立体障害の少ない異性体へと変換されていることがわかった。これは、おそらくPd-Ni-Y触媒の酸点の作用と考えられる。そこで、いくつかの金属担持ゼオライトの酸点を、ピリジン吸着-IR測定法、およびアンモニア昇温脱着法により測定したところ、反応の活性点と考えられるBronsted酸点の量がPd-Ni-Y触媒で最も多いことがわかった。これがPd-Ni-Y触媒の高い分解活性の一因と考えられる。最後に、n-ドデカン:ジベンゾチオフェン混合物(95:5)の混合物を軽油のモデルとして、反応を行ったところ、触媒添加量、反応温度を制御することにより、n-ドデカンの分解を抑えながら、ジベンゾチオフェンのみを分解できることが明らかとなった。
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