研究概要 |
4,4-ビピリジン(4,4'-bpy)を架橋配位子とした金属錯体の3次元集積化により、ゼオライト様のチャンネリングキャビティを有する新しいミクロポーラス物質の創成を行い、X線解析によりその構造の詳細を明らかにした。さらにこれら新規集積型金属錯体がメタンに対してゼオライト13Xと同程度のガス吸着特性を示すことを見いだした。 2つの金属イオン間に架橋配位して直線型の基本連結構造を与える4,4'-bpyと金属硝酸塩とを、アセトン/エタノール混合溶媒中、室温で反応させることにより、金属イオンと4,4'-bpyとを2:3の比で含む新規集積型金属錯体{[M_2(4,4'-bpy)_3(NO_3)_4]・yH_2O}_n(1;M=Co,Y=4:2;M=Ni,y=2:3,M=Zn,y=4)を良好な収率で得た。1についてX線解析を行い、構造の詳細を明らかにした。一方、2,3は粉末X線回折パターンの比較から、1と類似の構造を有することが判明した。1のCo原子には、3分子の4,4'-bpyが各々2つの窒素原子の内の一方で配位し、残りの配位座には2つの硝酸イオンが酸素原子によって結合しており、Co周りは5方両錐構造をとっている。3分子の4,4'-bpy分子のうち2分子は(4,4'-bpy)-Co-(4,4'-bpy)-Co-(4,4'-bpy)---と連なる1次元鎖を形成しており、この1次元鎖間を3分子めの4,4'-bpyが連結して、全体として3次元のネットワークを形成している。この新規配位高分子錯体の構造で最大の特徴は、上記1次元鎖が連結されて3次元構造となった結果、6Å×6Å程度のキャビティを有するマイクロポーラス構造を形成している点である 加圧下298Kにおける1〜3へのメタンの吸着特性を検討したところ、加圧とともに吸着等温線の急激な立ち上がりが観測され、細孔内へのメタンの吸着が確認できた。吸着量は同程度のサイズの細孔を有するゼオライト13×に匹敵した。
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