Cuイオン交換ZSM-5触媒によるNO分解反応の機構を調べるため、ZSM-5の結晶構造から切り出した4つのモデルに基づいて、密度汎関数法による計算を行った。Al(OSi(OH)_3)_4と表せられるペンタメリックモデルでは銅イオンが酸素原子に2座配位した構造が、単座配位型よりも安定であった。また、N末端配位型の方がO末端配位型よりわずかに安定であった。このモデルにNO2分子を吸着させ分子間の反応を調べたが、直接反応はNO間の反発のため困難であった。しかし一方がNOHの場合は発熱的にN_2Oと吸着OHを生成することがわかった。5員環モデルではCuイオンは環の中央で多中心のCu-O結合を形成する。この位置へのNOの吸着による安定化は、ペンタメリックモデルよりも小さかった。 Si2原子をAl2原子で置き換えた6員環モデルにCu1原子を入れた場合は、予想通りCuが2価のイオンになるためNOは吸着しないが、2原子を入れたモデルでは吸着する。しかし、Cu^<+1>価イオンはd^<10>電子配置であるため、そのダイマー構造は不安定であり、強い立体規制がないと反応中に分解してしまう。立体反発の高いエネルギー状態においては、2NO→N_2+O_2の分解反応をシミュレーションすることができた。このモデルを改良するために″余分の(extra)″酸素原子をダイマー構造に配位させたモデルを考えた。この酸素原子がCu^<+1>ダイマーから電子を取り去ることによりダイマー構造は安定化されることが確かめられた。 ZSM-5の結晶構造をそのまま用いた周期モデル計算についても準備をしている。
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